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「フラグルロックの歴史」動画の紹介 [フラグルロック]

Defunct TV が製作したフラグルロック関連動画を紹介します。
ジム・ヘンソンの伝記を作品と共に丁寧に説明したシリーズ動画のひとつです。

「The History of Fraggle Rock(フラグルロックの歴史)」と称した動画(英語)です。




フラグルロックがどうやって生まれテレビシリーズとなり成功したかが分かります。



動画内容をフラグルロック中心でまとめてみました(敬称略)(「ダーククリスタル」や他作品は後述の時系列のほうにまとめています)

きっかけはジム・ヘンソンが「戦争を止めるような子供番組を作りたい」と言ったこと。違う種族(フラグル、ドーザー、ゴーグ、ニンゲン)、協力、友情、問題解決といったビジョンが出てコンセプトができた

フラグルロックの主役級のパーフォーマーは「マペットショー」や「セサミストリート」等これまでレギュラーだったジム・ヘンソン、フランク・オズ、リチャード・ハントの起用をやめ、ジム・ヘンソン(カンタス、偉大なジョン)とリチャード・ハント(ゴーグ王子)は脇役に留めた
 ジェリー・ネルソン(ゴーボー役)
 デイブ・ゴールズ(ブーバー役)
 キャシー・モレン(モーキー役)
 スティーブ・ウィットミア(ウェンブリー役)
 カレン・プレル(レッド役)
フラグルロックの成功は彼らによるところが大きい

ジム・ヘンソンは信頼してチームスタッフに任せていた。チームの自主性によりジムなしで形にできるようになり、不可能と思える新しいアイデアを実行するようになった。ジムはフラグルロックの出来を称賛していた

「ダーククリスタル」の技術をもとにロボットテクノロジーを改良しドーザーとゴーグを製作

シリーズ通して約10000体のフラグルが登場(数秒しか映らないものを含める)

最初に製作されたのは『30-minute work week/仕事さがしが大仕事』
(ウェンブリーの仕事探しの回。動画ではこのエピソードやキャラクターを演者込みで詳しく紹介しています。実際放送は5話目)

フラグルロックのオリジナルソングを全て担当したのは Philip Balsam と Dennis Lee
音楽はとても重要な要素である。時にキャラが叫んだりカオスになるが、歌は穏やかで静かなものもあり、マペットショーとは別の意図を感じる

フラグルの洞窟を歩くシーンやゴーグの庭で小さなフラグルを映すのにたくさんのブルースクリーンが使われている

「トラベリングマット」とはブルースクリーン技術の用語

フラグルは問題を解決するのがうまい。主役の5匹は得意も欠点もある。ゴーボーの冒険家気質はブーバーと衝突したり、ウェンブリーの保守性がレッドと衝突したりする。この違いはグループをバラバラにせず結束させる。お互いの力と弱点を認め合い、色んな特色がお互いを助け合って問題解決するからである

世界中の視聴者にメッセージを届けるため各国版の博士と犬のバージョンを製作
 北アメリカ 博士とスプロケット
 UK リタイアした航海士で灯台守のキャプテン
 フランス ベーカリーのシェフと犬のクロケット
 ドイツ オリジナルに似せた博士とスプロケット
他の国はそれぞれのセグメントを作らず吹き替え

ジムが演じたキャラは2つ。巧みな偽祭祀の偉大なジョンと落ち着いた賢い音楽家カンタス

シーズン2でキャシー演じるコッターピン登場。これまでフラグル視点だったのが、ドーザー視点で描かれる。ジム・ヘンソンが演出している

シリーズ最後の2話(『The Honk of Honks/よろこびのホーン』『Change of Address/さよならの日』)はカンタスが戻り、フラグル、ドーザー、ゴーグ、外の世界のニンゲンも含まれたアンサンブルであり、"You cannot leave the magic" で終わる(動画では最後の2話を詳しく説明しています。ネタバレになる気がするのでここに書くのは控えます)

フラグルロックはそれまでの子供番組とは違う。セサミストリートのように数字を教えるのではなく、子どもが直面する日々の問題に取り組んでいるのでもない。フラグルロックにはいくつかのとても深いニュアンスが含まれておりシュールでもある

ゴーボーは気分屋だし、レッドはわがままだし、ブーバーは悲観的。でもコミュニケートして問題解決を図り友情を深める。それこそジム・ヘンソンの意図したもの。ジムは世界中の子供に道徳的受容のベースを作り問題解決の多様性と結束を与え、友情的人生と存在という大きな問題提起しようとした



この動画では「フラグルロック」と同時期に製作していた「ダーククリスタル」やマペッツ作品も説明されています。(ジム・ヘンソンはフラグルロックの拠点トロントとダークリ拠点のロンドン、セサミのニューヨークを行ったり来たりして仕事してたわけです)
ジム・ヘンソンは毎日熱心に働き、計画を実行する十分な時間がないと心配していたそうです。

「ジム・ヘンソンはフラグルではない、仕事熱心なドーザーだ」という説明が効いています。



以下、動画を元に時系列でまとめてみました。
(「フラグルロック」「ダーククリスタル」他、動画で説明されているものをほぼ書きだしてみました。英語力がアレなので間違っていたらすみません)


1977年
・「ダーククリスタル」構想開始
・8月 イラストレーターのブライアン・フラウドと共に「ダーククリスタル」の原案・コンセプトデザインを作る
・「ダーククリスタル」はこれまでのマペットとは全く違う為パラマウント社から断られる

1979年
・7月 「マペットショー」シーズン4製作場所をニューヨークからロンドンに移す

1980年 
・マペッツ全盛期 リチャード・ハント、ジェリー・ネルソン、デイブ・ゴールツ等の優秀なパペッティアを輩出
・「ダーククリスタル」よりマペット映画続編を作ることが先という条件でLord Lew Gradeから資金援助(「The Great Muppet Caper/マペットの大冒険/宝石泥棒をつかまえろ!」1400万ドル、「ダーククリスタル」1300万ドル)

1981年
・5年続いた「マペットショー」が終わる
(この時点でマペットショー拠点 ロンドン セサミストリート拠点 ニューヨーク)
・ロンドンのマペットワークショップは「ダーククリスタル」製作着工
・ジムはJerry Juhl(ジェリー・ジュール)、Jocelyn Stevenson(ジョセリン・スティーブンスン)、Michael K. Frith(マイケル・フリス)と新しいテレビ番組について話し合う。ジムのビジョンを完全に共有してくれると信頼して3人に任せ、ジェリー、ジョセリン、マイケル組は数か月に渡り「フラグルロック」の構想を練る
・4月 ジム・ヘンソンは「フラグルロック」の過程をチェック(しかし「ダーククリスタル」撮影開始で多忙)
・6月26日 「The Great Muppet Caper/マペットの大冒険/宝石泥棒をつかまえろ!」リリース
・夏 タイトルを「Fraggle Hill」から「Fraggle Rock」へ変更
・9月まで「ダーククリスタル」製作に入れ込む。その後丹念に「フラグルロック」のチェック
・ジムのエージェントBernie Brillsteinの助けを借りHBO局に「フラグルロック」プロット提出。HBOは初めてのテレビシリーズとして「フラグルロック」配給決定(HBOは「かわうそエメットのガラクタバンド」の放送局)
・HBO加入者のみを「フラグルロック」の視聴対象にするのではなく、テレビ界の典型を破り「マペットショー」での成功を元に独自の取引をまとめる。イギリスだけじゃなくカナダでも1982年に放映することになる
・「フラグルロック」の製作拠点をトロントに作る
・12月 HBOで「フラグルロック」36エピソード決定のニュース

1982年
・1月 「フラグルロック」初回(パイロット)期限と共に、「ダーククリスタル」の仕上げ工程(ポストプロダクション)
・起業家で億万長者のRobert Holmesによる解雇でLord Lew Gradeが会社の地位を辞任(「ダーククリスタル」を彼と仕事できなくなっただけでなくビリオネアーの手に委ねられてたことを意味する)
・3月10日 「フラグルロック」パイロット『30-minute work week』完成試写(好印象につき2話撮影に必要な調整時間を提供される。この高評価が「ダーククリスタル」発展の問題を吹き飛ばす結果になった。ジムはチームの自主性に任せ「ダーククリスタル」の仕事に戻る)
・4月半ば フラグルチームはファーストシーズン製作中
・5月28日 「ダーククリスタル」公開予定だったが改変延長
・Robert Holmes氏から「ダーククリスタル」権利を1500万ドルで買い戻し、配給業者のユニバーサルピクチャーを説得
・8月 「フラグルロック」12エピソードを完成(ジムは「ダークリをやりながらトロントに参加するのは長く続かず、12話のうち4つを演出)
・8月8日~24日 トロントに残ったチームは「The Fantastic Miss Piggy Show/ファンタスチックピギーショー」撮影(9月17日放送)
・マペッツ映画3作目「The Muppets Take Manhattan/マペットめざせブロードウェイ!」を計画(世間が望んだため)
・マペッツとジョン・デンバーの「Rocky Mountain Holiday」ロッキーマウンテンホリデー」を撮影(1983年5月放送)
・後半 ジムとフランクが「ダーククリスタル」宣伝
・12月17日 「ダーククリスタル」公開

1983年
・1月10日 「フラグルロック」放送開始(高評価)
・「フラグルロック」シーズン1(全24話)(1月10日~7月4日放送)
・9月 フラグルチームがトロントに戻る。ゴーグ王妃の声役がMyra FriedからCheryl Wagnerに交代
・ジムはフラグルロック」と「セサミストリート」も手伝いながら、マペット映画「The Muppets ・・Take Manhattan/マペットめざせブロードウェイ!」撮影準備

1984年
・「フラグルロック」シーズン2(全24話)(1月2日~6月11日放送)
・「フラグルロック」世界90か国で放送される
・6月 「フラグルロック」シーズン3の6話まで製作中
・12月24日 「フラグルロック」シーズン3放送開始(クリスマス回『The Bells of Fraggle Rock/きみのベルを鳴らせ』)

1985年
・「フラグルロック」シーズン3 (1984年12月24日~1985年5月27日放送)
「フラグルロック」シーズン3は24話予定だったが22話までしか放映されず残り2話(『Wembley's Wonderful Whoopie Water/元気が出る水』『Sidebottom Blues/ゴーグとあそぼう』)をシーズン4に持ち越し放送となる。そのためシーズン4も24話予定だったところを、繰り越しとなった2話を含めシーズン4と5に分けそれぞれ13話とする決定をする

1986年
・「フラグルロック」シーズン4(1月6日~3月31日放送)

1987年
・「フラグルロック」シーズン5(1月5日~3月30日放送)

1989年
・ソビエトで「フラグルロック」が放送される
「フラグルロック」の目的はジムが戦争を終わらせるような子供番組を作りたいと願ったことが発端で、世界中の子供に道徳的受容のベースを作り問題解決の多様性と結束を与えることだった。友情的人生と存在という大きな問題提起しようとした。





コメント(2) 
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コメント 2

あかね

こんにちは。
もう随分と前の事になりますが、以前書き込みさせて頂いた者です。またふらりと遊びに来ました(笑)
みかげさんの解説のお陰で動画がとても観やすかったです!ありがとうございます!
2018年にアトランタにあるCenter for Puppetry Artsに行って来たのですが、その時の感動が蘇りました!(T^T)
by あかね (2020-01-08 12:44) 

笙野みかげ

♪ あかね さま

こんにちは(⌒∇⌒)ノ
再ご訪問ありがとうございます!

おお~~っ、Center for Puppetry Arts に行かれたということは、本物のフラグルやドーザーをご覧になったのですね!
フラグルロックの他にもジム・ヘンソン関連のマペットや、色んなパペットたちが展示されている夢のような施設ですよね!
実際にご覧になられたなんて羨ましいです!

つたない解説記事ですが、動画を見る際のお役に立てたならとても嬉しいです

なかなか更新しないブログですが、またいつでも遊びにいらしてくださいませ~!
by 笙野みかげ (2020-01-09 23:10) 

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