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マペットは本人であるべきか、代役マルチキャストの経緯 [マペッツ]

マペットキャストの交代及び代役の何が問題なのかということについて書きたいと思います。

ジム・ヘンソン後カーミットを27年やってきたSteve Whitmire(スティーブ・ホイットミア)からMatt Vogel (マット・ヴォーゲル)へ交代というニュースが7月に発表されました。
本人の希望ではなく事実上の解雇です。

これは「マペッツ」だけの問題じゃなく「フラグルロック」や「セサミストリート」にも大いに関係する話なので、フラグルロックファンもちょっと耳を傾けて下さいませ。

スティーブさん(以下敬称略)が演じているキャラはカーミットだけじゃありません。
マペッツのビーカー、リゾ、スタトラー、フーフー、ニュースマン、リップス、全部降ろされたということになります。
そしてハッキリしていませんが「フラグルロック」のウェンブリーも今後できないと見ている人もいます。もしフラグルロックの映画ができたとしても別の誰かがやることになる可能性があるわけです!

相変わらず「フラグルロックの映画なんて本当になるかわかんないし~」な状態だけど、イベントでフラグルたちが登場する場合、基本的に当時のキャストがやってます。(唯一ゴーボー役のジェリーさんが亡くなり John Tartagliaさんが代役)
レッド役のカレンさんはどんな小さなイベントだろうと全て彼女が演じてます。あの頃に比べたら歳とってるし現在はアニメーターの仕事してますが、レッドやるのはカレンさん以外にいません。ライフワークだからです。


カーミットだけの問題じゃないと分かってもらえたと思うので改めて今回の騒動で浮かび上がってきたある問題点について書きたいと思います。

なんで(一部のファンが)こんなに大騒ぎしてるのか?

それは「マペッティアを降ろすというのはキャラクターそのものを殺すようなものだ」と考えているからです。
ジム・ヘンソンが作ったマペットのキャラクターは基本的にマペットパーフォーマー(以下マペッティアと書きます)が死ぬか病気等で演じられなくなるまでそのキャラと向き合ってきました。マペッツ、フラグル、セサミストリート、どのキャラも同じです。

マペッティアは自分の子供として受け持ちのキャラを育てていると考えてみてください。親(マペッティア)の影響を受けて子供(キャラクター)は育ちます。マペッティアがライフワークとしてキャラを受け持つのは親(マペッティア)は一生子供(キャラクター)の親という考えだからです。

創始者のジム・ヘンソンはキャラの権利の一部をマペッティアに与えてどう成長させていくかを楽しんでいるようなところがありました。
キャラクターのアイデンティティは演じるマペッティアによるところがとても大きいのです。

今回のことは例えるなら曾祖父(ディズニー)が親を追い出し勝手に孫に新しい親を与えたようなもので、キャラクターのアイデンティティを変えるようなもの、ひいてはキャラクターを殺すようなものとして、一部のファンが大騒ぎしているのです。

本当のことは分かりませんが、カーミットのリキャストはマペット界の大きな問題であり、困難な状況でカーミット役をMattに決めたのはできる最大のことだったように思います。


リキャスト理由の一つとして浮かび上がってきたもののひとつに「代役」「マルチキャスト」問題があります。これはディズニーに権利が映った直後から出てきた問題の一つです。ジム・ヘンソンの時代には代役(understudies)はありませんでした。


経緯はこうです。(名探偵モンクの名台詞(≧ω≦)彡)

2004年…マペッツをディズニーが買収
当時のThe Muppets Holding Companyの責任者「各キャラ毎に6~12人のパペッティアを用意して全国同時展開」→主要マペッティアが猛反対(マペットのクローンをたくさん作ったらキャラを育てられず価値が落ちる)

2005年…主要キャラの代役パペッティア公開オーディション「君もカーミットになれる」

2006年…主要キャラの代役パペッティアワークショップ(後述)

2005年2月…『The New York Fashion Week(2005)』にピギー登場。マペッティアの Eric Jacobsonが参加できずKevin Clashが声は出さずに代役(一時的に他の人が操作することを代役(understudies)ではなく "stand-in" と呼んでいるそうです。stand-in の場合、声はオリジナルが録音し、操作のみ担当)
 http://muppet.wikia.com/wiki/New_York_Fashion_Week

2005年10月…『Reel Classics Extra』 スタトラーをDrew MasseyがウォルドーフをVictor Yerridが代役(これは本人が出演できないからではなくマルチキャストです)
 http://muppet.wikia.com/wiki/Reel_Classics_Extra

2005~2006年…『Statler and Waldorf from the Balcony』スタトラー、ウォルドーフ、ペペが
登場。1~8話は本物、9話以降は代役(マルトキャスト) スタトラー、ペペ…Drew Massey、ウォルドーフ…Victor Yerrid
 http://muppet.wikia.com/wiki/From_the_Balcony

2006年…ディズニークルーズ 『Muppets Ahoy! 』 カーミット、フォジー、ピギー、ゴンゾ他全て代役(マルチキャスト)によるショー
 http://muppet.wikia.com/wiki/Muppets_Ahoy!
当初はオリジナルがやる予定だったが代役がやることに決まり、コアマペッティアは反対、責任者に説明を受けに行ったが決定事項だった、スティーブはマペッツがマペッツであるために少なくとも一度は自分が出演したとブログに記述

2005年~2007年…『 Save the Muppets』ファンによる"one Muppet, one voice"「一つのキャラに一人の声」運動。マルチキャストへの反対運動

2009年…『D23 Expo(2009)』 カーミット代役Artie Esposito
http://muppet.wikia.com/wiki/D23_Expo

2009年…『America's Got Talent(2009)』 カーミット代役Artie Esposito
http://muppet.wikia.com/wiki/America%27s_Got_Talent



問題の発端ともいえる代役オーディジョンについて
2006年、主要キャラの代役パペッティアオーディションでは1000人の中から8人が選出され、ディズニーワールドで1週間のワークショップが開かれました。
カーミット、ミス・ピギー、フォジー、ゴンゾの代役が選ばれています。



動画にはJane HensonとHeather Henson、Martin Baker、Debbie McClellen(現マペットスタジオ代表) の姿が映っています。
ディズニーとヘンソンファミリー公認のワークショップだということが判ります。

パペッティアは以下
カーミット…Artie as Kermit
フォジー…Gabriel Velez
ゴンゾ…Brett O’Quinn
ピギー…Tony Whitten

動画にはありませんがもう一組
カーミット…Drew Massey with Victor Yerrid
フォジー…David Stephens
ゴンゾ…Brett O’Quinn
ピギー…Micheal Lisa


問題点
ディズニーがこの代役をどういう意図で使おうとしていたのか
ヘンソン側はディズニーの意図をハッキリ分っていたのか不明
Martin Bakerはディズニーワールドでのモールやグリーティングのためだと言ったらしい
ワークショップでのパペット指導はマペッティア本人からではなくディズニーのパペッティアによる指導だった

カーミット、ピギー、フォジー、ゴンゾ役なのに、カーミット、ピギー、フォジー、ゴンゾのマペッティア本人が不在!

この中でフォジーをやってるGabriel氏は “Where are Steve, Eric, Bill or Dave?“と思ったとコメント。選ばれたパペッティアさんたちも本人指導だと思っていたんじゃないでしょうか。

コアマペッティアさんたちにこのワークショップのことを知らされていたのかも不明。知らされていたとしても反対していたと思われます。
少なくともこの動画の存在は4人とも知らされなかったそうです。

このワークショップ後、代役として選ばれたパペッティアさんたちに連絡はなく、そればかりかその後「マペッツ」の仕事が一切なくなったらしいです。(2009年のイベントを除く)
選ばれたパペッティアさんたちはヘンソンカンパニーやセサミストリート等で仕事しているプロも多く、オーディション前にはマペッツでも仕事していたのが、何故かマペッツからピタッと連絡が途絶えた。その為ブラックリストに入れられたのではないかと懸念。
スティーブの解雇後何故かマペッツの仕事(ハリウッドボウル)の連絡がきた人が数名。このためブラックリスト化したのはスティーブなんじゃないかという噂が出たが、スティーブは「自分にはキャスティングの力はなく決定権はスタジオにある」とブログに書いています。

同じくGabrie氏は「代役」は本人がどうしても出演できない場合の代わりであるべきとコメントしていますが、ディズニー側はそう思っていなさそうです。

マペッツのマペッティアはディズニーの社員ではなくプロジェクト毎の契約であり、ディズニーは本人との契約がうまくいきそうにない場合や予算を考えて代役を使おうという意図があったように思います。
元々ディズニーはたくさんの「中の人」つまり「カーミット1」「カーミット2」「カーミット3」を作ろうとしていて、"one Muppet, one voice"「一つのキャラに一人の声」運動で一応収まった形になったけれど、今後どうなるのか。

Steveはジム・ヘンソンと一緒に仕事して彼の精神をとても大事に仕事していました。現カーミット役のMattはジム・ヘンソンに会ったことはありませんがその精神を大事にしており9月のハリウッドボウルライブで素晴らしいカーミットを見せてくれました。
今後マペッツがどんな展開を見せてくれるのか分かりませんが、間違えても「そっくりなら誰でもいい」という物まねショーにならないことを祈ります。
ディズニーがマペッツとマペッティアの関係をリスペクトすることがマペッツの真の価値につながると思っているファンは多いです。






タグ:マペッツ
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