公式動画からトラベリング・マット(冒険マット)のテーマソング
Fraggle Rock "All Around the World"

この歌入りのテーマソングは本編中には一度も流れず、ミュージックビデオとして編集されたものです。もともとはイギリスでリリースされたものですね。

マットのシーンは国によって別録しているものがあるため、オリジナルでは見られないシーンがたくさんあるんですが、そのうちの多くがDVDのボーナスや公式動画で見ることができます。


さて久しぶりのリスニングはマットの話を取り上げようと思います。

29話『おかえりなさい、冒険マット(原題 Uncle Matt Comes Home)』(コンプリートDVD シーズン2)

探検に疲れたらしくフラグルロックへ帰ってくる話です。
マットがフラグルロックへ帰ってくる話は2つあって、ひとつがこの『Uncle Matt Comes Home』、もうひとつは74話『Uncle Matt's Discovery』です。
どちらも見たときはうーむと唸ってしまいました。なぜって「大好きなマットおじさんがフラグルロックに帰ってくる。わーい!」で終わる話じゃないからです。
マットおじさんは久しぶりに故郷に戻るけれど、その間にゴーボーは成長してるのね。マットから見れば「かわいいおちびのゴーボー」のままと思い込んでいるけれど、ゴーボーにしてみれば大きくなったぼくを認めて一人前として扱ってほしいと思っているんです。
加えて、成長したことで小さい頃は気づかなかったおじさんの悪い点(いいかげんさ)も見えてしまう。
ゴーボーは身内だからこそ遠慮なく吐き出しちゃうし(この辺はまだまだ子ども)、マットはマットで大人の自分の言うことを聞けと言わんばかりの大人気なさ(ノ∇≦*)
74話ではマットとゴーボーがお互いを理解できずに苦しみます。
それもこれもお互いを愛してるからこそというこのふたりの微妙な関係がとても素晴らしいです。

フラグルロックが単なる能天気な作品じゃないなと思わせるのもこういう描写があるからなのよ~っ!

フラグルロックの良さってね、理解できないものを理解できないまま受け入れたり、理解されないまま自分なりの決着をつけて終わることがある点も大きいと思います。安易な子供番組なら、いさかいがあっても最後には真実が明るみに出て相手を理解してハッピーエンドにもっていくところ。でもフラグルロックは必ずしもそうならないんです。

実はこれを強く意識したのが『Red's Sea Monster』(28話)と『Wembley's Flight』(79話)
片方はレッドがモンスターを見て、もう片方はウェンブリーが空を飛ぶ。でも誰も信じてくれず、本当だと言えば言うほど仲間からバカにされたり軽くあしらわれたりするの。「本当なのにーっ!」って証明しようとするけど、うまくいかない。
視聴者にしちゃ「そのうちみんなにも真実が明らかになる」と思って見ているけど、最後までそうはならないのね。結局誰にも理解されないまま終わるんです。
ね、びっくりじゃない?

どういう結末になるかというと、レッドにしてもウェンブリーにしても、「誰かに真実だと知らしめる」ことよりも、もっと大事なことがあると気づくんです。レッドは「あれは嘘。あんなことを言ったのはみんなの注目を集めたかったから」なんて嘘をついてでも絶滅寸前のシーモンスターを守ることを選ぶし、ウェンブリーはひとりで純粋に空を飛ぶことを楽しもうとするんです。飛びながら自分の部屋に行くけれど寝ているゴーボーを起こして事実を見せようとはしないの。
これと似たようなシーンは他の回にもあって、ウェンブリーは親友のゴーボーにも詳細は言わずに自分の中に大切に留めておくことを選ぶことがあります。
こういう決着のつけ方でハッピーエンドにしちゃうところがフラグルロックの素晴らしさ!

ちなみに後の『Red's Blue Dragon』(81話)でレッドがブルードラゴンを見た際は、シーモンスターの時とは対照的で、最後まで「嘘じゃない、本当だったら!」ってマットに言い寄ってますが、エピソードそのものがハチャメチャなので、まーあれでいーか(ノ∇≦*) (←ブルードラゴンの回は言いたいことがあるけど、それは別の機会に)

ところで、フラグルロックには博士の部屋の穴以外にも外の世界への入り口があるってご存知ですか?
その魔法の入り口を発見するのが74話です。これ以降マットがいつでも自由に行き来できる状態となり、フラグルロックにいるシーンが多くなります。(上に書いたブルードラゴンの回ではレッドがその入り口から青いドラゴンがいる別世界へ行っちゃうので、必ずしも我々の世界へ通じているわけじゃないのでしょう)
でもそれまではマットは基本的に我々の世界を旅しているので、フラグルロック内にいることは殆どありません。


ではマットが帰ってくる29話『Uncle Matt Comes Home(お帰りなさい、冒険マット)』のリスニングに挑戦。