今回取り上げるのはシーズン2から『Wembley and the Great Race
日本タイトルは「勝っても負けても」だったかな。

この話、各インタビューやファンの間で話題になったのを聞いたことがないのですが、これ、なかなか秀作じゃないですか!

ストーリーはゴーボーとウェンブリーが競争する話です。このテの競争はいつもゴーボーが1位を取るもんだと思ったら、なんとウェンブリーが勝っちゃうんです。ウェンブリー自身もびっくり! 
ゴーボーは負けたことを悔しがっていて・・・そりゃそうだよ、「競争するからには勝ちたい、負けたら悔しい」というゴーボーの気持ちは当たり前だもん。
でもウェンブリーはそうじゃない。初めから自分が勝つなんて考えたこともなくて、「ベストを尽くすことが大事なんだ」って思ってる。結果1位になって、ゴーボーも喜んでくれると思ったけど、ゴーボーの様子を見て友情が壊れるんじゃないかって恐れ次の競争では・・・。
この話はレッドが間に入ってることで一層面白くなってます。「ウェンブリーが勝ったのは運が良かったからだ」というゴーボーにレッドが「負け惜しみ」だと返して、ゴーボーとウェンブリーのタイマン勝負になるの。二回戦ではレッド曰く「ウェンブリーはわざと負けた」って。それを知って怒るゴーボー。ふたりに挟まれて、ウェンブリーは最後にキレちゃいます。
「もう一試合だって?!よーし、やってやる!でも今度は勝つか負けるかじゃない、ぼくはぼく自身のためにやるんだ!」と言い、自分の力を信じて競争するんですね。いつもどっちつかずのウェンブリーだけど、一旦決意したらとても強くなれる。そこには純粋で真っ直ぐな気持ちしかないから、ゴーボーも間違いを悟ることになります。

いいねえ。子ども番組はこうでなくっちゃ!

フラグルロックが子ども番組として優れている点のひとつは、キャラクターがちゃんと学んで大きくなるところを見せているところだと思います。
ゴーボーにしたって、リーダーでヒーローだからいつもフェアで寛大でいるべき、じゃなくて、ダメなところや未熟なところがちゃんとある。この話ではレッドに負け惜しみだと言われてムキになっちゃうところとか、2回戦で勝って「どうだ、負け惜しみじゃなかっただろ」って得意になるところとかね。他の回でも時々我を通そうとしたり、わがまま言ってたりことがあって、例えば#29『Uncle Matt Comes Home/お帰りなさい冒険マット』で自分のやり方と違うおじさんと衝突したり、#60『Gobo's School for Explorers/規則をまもれば』で仲間の状態も顧みず冒険させようとしたり、#54『Pebble Pox Blues/病気がなんだ』で看病してくれるレッドにわがまま炸裂してたり(ノ∇≦*)あはは!(ゴーボーにとってレッドはわがままを言いやすい相手なんだと思う。そして私は、お気づきのように、ゴーボーとレッドの関係がお気に入り)
ゴーボーは一見ヒーロータイプに見えるけれど、所謂ヒーロー像ではなく、成長する余白がいっぱい残ってる感じがします。

もうひとつ、この話のいいところは、競争することの価値も同時に描かれていること。『Wembley and the Great Race』「ウェンブリーと偉大なレース」というタイトルが示す通り。親友同士の競争、どちらかが勝って、どちらかが負ける。ゴーボーのように競争して勝つことが大事と思う子も、ウェンブリーのように勝負より友情第一だと考える子も、自分に照らし合わせて見ることができると思います。

前回取り上げたベグーニーの話との差はなんなのさ(失礼!) この話は非の打ちどころがない。子ども番組としても王道の回だと思います。



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